自宅サーバ構築MY HOME SERVER
セキュリティー設定 ファイアウオール(iptables) iptables編集 ルータポート開放について ポート開放テスト SELinux ウイルスソフト(Clam AntiVirus) |
- セキュリティー設定 -
自宅サーバを外部公開する場合、セキュリティに留意する必要があります。外部からの不正アクセス、乗っ取られて踏み台にされる、ウイルス感染、 データの改ざん等に対する対策を講じる必要があります。Linux系OSは普及率がWindowsに比べて断然低いことから、攻撃対象とされる可能性が低い です。しかし不特定多数を相手に公開する場合、やはりセキュリティ対策を講じて置かないと、自宅サーバばかりでなく外部ネットワークに対して も被害を及ぼすことになります。 不正進入対策としてパケットフィルタリング(iptables)、ウイルス対策としてアンチウイルスソフト(ClamAV)の導入方法について説明します。
- ファイアウオール(iptables) -
CentOSをインストール完了した時点では、ルータのファイアウオール、CentOSのファイアウオール(iptables)が有効になっています。CentOSは
2重のファイアウオールで外部からの不正アクセスを遮断しもらっている状態です。
サーバ設定に際して、ルータ及びiptablesの両方のポートを開放する作業がどうしても必要になってきます。外部からのアクセスはさせないで、
内部(ローカルネットワーク)だけサーバにアクセスさせると言うのであれば、iptablesのポート開放だけの作業になります。
本サイトで紹介しているサーバ機能追加の際、開放が必要なポート番号は以下のとおりです。
ポート番号 | プロトコール | 用途 |
21 | ftp | ファイル転送 |
22 | ssh | SSH(暗号化) |
25 | smtp | メール送受信:SMTP |
53 | domain | DNS |
80 | http | WWW |
110 | pop3 | メール受信(POP) |
137 | netbios | 名前解決 |
138 | netbios | ブラウジング |
139 | netbios | ファイル/プリンタ共有 |
143 | imap | メール(IMAP) |
443 | https | WWW(暗号化) |
465 | smpts | SMTP Over SSL |
587 | smtp | smtp認証 |
993 | imap | SSL(暗号化) |
995 | pop | SSL(暗号化) |
外部からのアクセスを認める場合、ルータ側のポートも開放をしますが、ftpやsshに関しては 必要な場合のみ開けるようにしてください。
サーバとクライアント間のファイル転送はftpよりも、ssh接続のほうが暗号化通信できる点 から考えるとセキュリティーが強化されています。
WWW(ウエブページ)の外部公開はルータのポート開放をする必要があります。メールに関しても メールを外部ドメインとの間で、送受信するのであればルータのポート開放が必要です。
netbiosポート番号(137,138,139)はsamba(ファイル共有サーバ)導入時に、iptables側だけ開放します。 ルータ側は開放しません。
外部ドメインから自宅メールサーバにアクセスする場合、SSL(暗号化)通信が必須です。そのために に必要なボート番号をルータ側でも開放する必要があります。
ポート開放例
・ftp接続は必要な場合のみiptablesポート開放。ルータ側ポート開放はしない。
・SSH接続はiptablesのみポート開放。ルータ側ポート開放は外部ドメインから操作する必要がある場合のみ。
・ファイル共有(samba)はiptablesのみポート開放。
・ウエブサーバ(Aache)及びウエブメールは外部公開する場合、iptables及びルータのポート開放
・メールサーバはiptables及びルータのポート開放
・ウエブファイル共有(WebDAV)はiptablesのみポート開放。ルータ側は外部ドメインから操作する場合のみ。
設定前
[root@hoge123~]# cat /etc/sysconfig/iptables # Firewall configuration written by system-config-firewall # Manual customization of this file is not recommended. *filter :INPUT ACCEPT [0:0] :FORWARD ACCEPT [0:0] :OUTPUT ACCEPT [0:0] -A INPUT -m state --state ESTABLISHED,RELATED -j ACCEPT -A INPUT -p icmp -j ACCEPT -A INPUT -i lo -j ACCEPT -A INPUT -m state --state NEW -m tcp -p tcp --dport 22 -j ACCEPT -A INPUT -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited -A FORWARD -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited COMMIT |
設定後
# Generated by iptables-save v1.4.7 on Thu Jun 14 20:28:07 2012 *filter :INPUT DROP [0:0] :FORWARD DROP [0:0] :OUTPUT ACCEPT [5:1034] -A INPUT -m state --state RELATED,ESTABLISHED -j ACCEPT -A INPUT -p icmp -j ACCEPT -A INPUT -i lo -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m state --state NEW -m tcp --dport 22 -j ACCEPT -A INPUT -s 192.168.0.0/24 -j ACCEPT -A INPUT -p udp -m udp --dport 53 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 80 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 25 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 110 -j ACCEPT -A INPUT -p udp -m udp --dport 137 -j ACCEPT -A INPUT -p udp -m udp --dport 138 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 139 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 443 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 465 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 587 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 993 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m tcp --dport 995 -j ACCEPT -A INPUT -j LOG --log-prefix "[iptables] " --log-level 6 -A FORWARD -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited COMMIT |
設定後の内容は下記ポリシーに沿ってファイアウォールの設定を行っています(パケットフィルタリングはルータに任せると言う場合は、iptables を無効にします。)
・入力パケットは全て破棄
・転送パケットは全て破棄
・出力パケットは全て許可
・ポリシーにマッチしない通信は「/var/log/messages」に記録する
# Generated by iptables-save v1.4.7 on Thu Jun 14 20:28:07 2012 *filter :INPUT DROP [0:0] :FORWARD DROP [0:0] :OUTPUT ACCEPT [5:1034] -A INPUT -m state --state RELATED,ESTABLISHED -j ACCEPT -A INPUT -p icmp -j ACCEPT -A INPUT -i lo -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m state --state NEW -m tcp --dport 22 -j ACCEPT -A INPUT -s 192.168.0.0/24 -j ACCEPT -A INPUT -j LOG --log-prefix "[iptables] " --log-level 6 -A FORWARD -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited COMMIT |
- iptables編集 -
iptablesの編集方法は二通りあります。コマンドラインから編集する方法と、毎度おなじみviエディタで編集する方法です。 コマンドラインは80番ポートを追加して、保存する例です。
[root@hoge123~]# iptables -A INPUT -p tcp --dport 80 -j ACCEPT [root@hoge123~]# /etc/rc.d/init.d/iptables save iptables: ファイアウォールのルールを /etc/sysconfig/iptable[ OK ]中: [root@hoge123~]# vi /etc/sysconfig/iptables ← 直接編集する場合です。 |
iptablesを再起動させる方法です(設定内容を変更後、反映させるために必要です)
[root@hoge123~]# /etc/init.d/iptables restart iptables: ファイアウォールルールを消去中: [ OK ] iptables: チェインをポリシー ACCEPT へ設定中filter [ OK ] iptables: モジュールを取り外し中: [ OK ] iptables: ファイアウォールルールを適用中: [ OK ] [root@hoge123~]# |
iptablesを無効・有効にする方法です。
[root@hoge123~]# /etc/init.d/iptables stop ← 無効にします。 iptables: ファイアウォールルールを消去中: [ OK ] iptables: チェインをポリシー ACCEPT へ設定中filter [ OK ] iptables: モジュールを取り外し中: [ OK ] iptables: ファイアウォールルールを適用中: [ OK ] [root@hoge123~]# /etc/init.d/iptables start ← 有効にします。 iptables: ファイアウォールルールを適用中: [ OK ] |
iptablesをサーバ再起動・シャットダウン後も有効あるいは無効にする方法です。
[root@hoge123~]# chkconfig iptables on [root@hoge123~]# chkconfig --list iptables iptables 0:off 1:off 2:on 3:on 4:on 5:on 6:off [root@hoge123~]# chkconfig iptables off [root@hoge123~]# chkconfig --list iptables iptables 0:off 1:off 2:off 3:off 4:off 5:off 6:off |
- ルータポート開放について -
ルータのポート開放はメーカーなどによって違いますが、静的NATやIPマスカレード等のメニュー表示を選択して開放するポート番号
を入れて設定を保存します。詳細はネット上で、「ポート開放」等の項目で検索してください。
既にウエブサーバ(Apache)の設定済みと仮定して、80番と443番ポートを開放する例で説明します。設定するルータはNTT PR-S300SE
です。ルータにアクセスするため、ルータのIPアドレスを調べます。
C:\Documents and Settings\hogehoge>ipconfig ← ipconfig と入力します。 Windows IP Configuration Ethernet adapter ローカル エリア接続: Connection-specific DNS Suffix . : IP Address. . . . . . . . . . . . : 192.168.0.13 Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0 Default Gateway . . . . . . . . . : 192.168.0.1 ← ルータのIPアドレスです C:\Documents and Settings\hogehoge>exit |
IEを開きアドレスに192.168.0.1 を入力します。ルータに既に設定してあるユーザ名、パスワードを入力して「OK」を押します。 不明な場合、ルータのマニュアルを参照してください。
左メニュから詳細設定を選択します。
「静的NAT設定」を選択します。
下図はTCPポート 80番を開け、アクセスを待ち受けているサーバのIPアドレスを入力した例です。入力後、 「設定」を押して保存します。80番が終わったら、ポート443を開ける設定をしますが、下図の例では 変換対象ポートを443にして変更を保存します。
これでルータのポート番号80、 443は開放されました。他のポート番号を開けるときも、まったく同じ方法で 開けます。
iptablesも同様にポート80 番と443 番を開ける設定をします。既存のiptablesの設定に下記内容を追記します。
[root@hoge123~]# vi /etc/sysconfig/iptables # Firewall configuration written by system-config-firewall # Manual customization of this file is not recommended. *filter :INPUT DROP [0:0] :FORWARD DROP [0:0] :OUTPUT ACCEPT [0:0] -A INPUT -m state --state ESTABLISHED,RELATED -j ACCEPT -A INPUT -p icmp -j ACCEPT -A INPUT -i lo -j ACCEPT -A INPUT -m state --state NEW -m tcp -p tcp --dport 22 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m state --state NEW --dport 80 -j ACCEPT -A INPUT -p tcp -m state --state NEW --dport 443 -j ACCEPT -A INPUT -j LOG --log-level info --log-prefix "[iptables] " -A INPUT -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited [root@hoge123~]# /etc/init.d/iptables restart ← 変更を反映させるために再起動します。 |
- ポート開放テスト -
外部からサーバのポート開放の状態を確認します。 ここをクリックしてください。
サーバの「ドメイン名」、「確認ポート番号」を入力します。「制約事項」にチェックを入れ「ポートチェック実行」 を押します。下図のように応答があれば、80番ポートは開放されています。
今度は、443を入れて確認します。下図はポートは開放されているけれども、待ち受けるサーバのサービスが起動 していなか、サービスが別のポート番号を使用している事を示します。443はwwwでSSLを用いるときに使用される ポートです。今回は、まだSSLは利用されていないので下記結果が出てきました。ApacheでSSLを利用するには、 モジュールを組み込む必要があります。
ウエブページ暗号化(SSL) の設定が完了していれば、ポート443は「アクセスできました」 に変わります。
もし、下図のような文言が表示された場合、対象ポートがブロックされていることを示します。ルータ及びiptablesの 設定を見直す必要があります。
- SELinux -
SELinuxはデフォルトで有効になっています。無効・有効にする方法は以下のとおりです。
[root@hoge123~]# getenforce ← 現在のSELinuxの状態を確認します。 Enforcing ← Enforcingは有効になっていることを意味します。 [root@hoge123~]# setenforce 0 ← 無効にします。「1」だと有効になります。 [root@hoge123~]# getenforce ← 現在のSELinuxの状態を確認します。 Permissive ← SELinuxが無効の状態になっています。 |
SELinuxは無効にしてもサーバ再起動・シャットダウンすると、起動時有効になります。有効になら ないよう設定します。
サーバ側設定が完了した後、SELinuxを有効にするとDovecot(POP/IMPAPサーバ)やSambaがうまく動作し なくなります。その場合、SELinuxを無効設定にして、サーバーを再起動します。その後、うまく動作しなかったサービス(dovecot、smb) もrestartさせて下さい。SELinuxを無効にしただけでは、正常に動作しません。
[root@hoge123~]# vi /etc/sysconfig/selinux - disabled に変更します - # This file controls the state of SELinux on the system. # SELINUX= can take one of these three values: # enforcing - SELinux security policy is enforced. # permissive - SELinux prints warnings instead of enforcing. # disabled - No SELinux policy is loaded. SELINUX=disabled # SELINUXTYPE= can take one of these two values: # targeted - Targeted processes are protected, # mls - Multi Level Security protection. SELINUXTYPE=targeted |
- ウイルスソフト(Clam AntiVirus) -
※メールサーバ導入予定の場合、最初にメールサーバを導入してからウイルスソフトをインストールしてください。
Linux系OSはウイルス感染しない、と思っている人がたくさんいます。実際に感染例がほとんどないことから、導入しないで
使用して良いかはサーバ管理者の判断になります。Windowsの場合ユーザが多いことから、セキュリティホールを突いた攻撃をよく受けますが
Linuxの場合、使用者が少ないことから攻撃されにくいと言うのは事実です。
しかしファイル共有やメールサーバ用途で運用している場合、Windowsで感染するウイルスが入ってくるかもしれません。その場合、Linuxでは
感染しなくても、Linuxサーバを経由して他のWindowsパソコンへの感染拡大の手伝いをするかもしれません。
その可能性を低くするためにサーバにはウイルスソフトが必要です。
Clamav をダウンロード・インストールします。
[root@hoge123~]# yum --enablerepo=rpmforge -y install clamav [root@hoge123~]# freshclam ← ウイルス定義ファイルを更新します。 - 定義ファイル更新したときに、以下のようなエラーが出た場合、設定ファイルを変更します。 - ERROR: Clamd was NOT notified: Can't find or parse configuration file /etc/clamd.conf [root@hoge123~]# vi /etc/freshclam.conf #NotifyClamd /etc/clamd.conf ← # を入力して、エラーメッセージが出ないようにします。 |
試しにhomeフォルダー内を手動チェックしてみます。
[root@hoge123~]# clamscan --log=/var/log/clamav.log --infected --remove --recursive /home/ ----------- SCAN SUMMARY ----------- Known viruses: 1245256 Engine version: 0.97.4 Scanned directories: 5 Scanned files: 9 Infected files: 0 ← 感染0 を表示しています。 Data scanned: 0.00 MB Data read: 0.00 MB (ratio 0.00:1) Time: 6.692 sec (0 m 6 s) - 無害の試験用ウィルスをダウンロードします。 - [root@hoge123~]# wget -P /home/ http://www.eicar.org/download/eicar.com [root@hoge123~]# clamscan --log=/var/log/clamav.log --infected --remove --recursive /home/ ↑ homeフォルダをチェックします。 /home/eicar.com: Eicar-Test-Signature FOUND /home/eicar.com: Removed. ← 感染ファイルが削除されました。 ----------- SCAN SUMMARY ----------- Known viruses: 1245256 Engine version: 0.97.4 Scanned directories: 5 Scanned files: 10 Infected files: 1 Data scanned: 0.00 MB Data read: 0.00 MB (ratio 0.00:1) Time: 6.680 sec (0 m 6 s) |
デフォルトで入っている自動更新プログラム cronie-anacron を削除して cronie-noanacron をインストールします。
(既にシステムアップデートで実施している場合は不要です)
[root@hoge123~]# yum -y install cronie-noanacron [root@hoge123~]# yum -y remove cronie-anacron |
Clamavのログを作成します。viエディタを起動し、clamav.logを新規作成します。 新規作成なので、中は空です。wqコマンドで保存します。
[root@hoge123~]# vi /var/log/clamav.log |
自動更新するように定義ファイルを作成し、毎日、ウイルススキャンする設定をします。
[root@hoge123~]# crontab -e 下記内容を貼り付け・保存します。3時間毎にウイルス定義ファイルの自動更新が行われ、 毎日03:00にウイルススキャンを行います。スキャンするフォルダはhomeディレクトリの中だけにします。結果は freshclam.log、clamav.logに記録されます。 00 0-23/3 * * * /usr/bin/freshclam --quiet -l /var/log/clamav/freshclam.log 00 03 * * * /usr/bin/clamscan --log=/var/log/clamav.log --infected --remove --recursive /home |